採用担当者のお助けマン 人事歴20年のミッチーが言いたい放題「withコロナの先に新しい世界がやってくる。一緒に採用戦線を乗り切ろう!」

採用担当者のお助けマン堀越 マサミチ

「ミッチーさん、オンライン面接ってやってます? うちの会社、いまだにガラケーなのに、いきなり上司が『おい!うちもオンライン面談やな!』 ですよ!」
先日、仲の良い人事担当者からのいつものようにお嘆きの電話が・・・

「入社式、どうします?」「新入社員教育やりますか??」
新型コロナウイルスの感染拡大で、3月に入ると社内はもちろん、知り合いからも日々このような問い合わせが続いていた。

長く人事の仕事に携わってきたが、今回のコロナショックのようにインパクトのある出来事はもちろん初めてで、SARSや新型インフルエンザの時でもせいぜい職場でパンデミック時の対応マニュアルを作ったり、現場にマスクを備え付けさせたりしたぐらいで人事や採用の仕事への影響はほぼなかったのだ。

●採用担当者はいつも変化の最前線

オンライン面接

感染症や震災といったこと以外にも、採用活動に大きな影響を与える出来事は過去にいくつかあった。
一番は、「インターネット」の登場。

私が人事の仕事に就いた頃はいわゆる「就職情報誌」が主流で、学生から送られてくる資料請求ハガキに一喜一憂したものだし、学生との連絡は夕方から夜にかけての電話だった。

それがインターネットの登場で、採用のスタイルは劇的に変化した。
今では学生との接点はWEBとなり、連絡はメールやSNSがメインとなった。

他にも紙媒体のパンフレットからビデオになり、DVD、そして今ではホームページやYouTubeで動画を配信する時代になったし、コロコロ変わる「就職協定」には学生共々散々振り回されてきた経験がある。

そう考えると、採用活動の世界には大小様々な変化があり、その都度採用担当者は他社の情報を集め回り、ニュースや人材系会社から送られてくる情報に目を凝らし、「変化」を乗り切りながら、企業にとって最大のリソースである「人の確保」を最前線で支えてきた。
なのに今回の「コロナショック」は、疲弊気味の採用担当者にも容赦なく、そしてとても重くのしかかってきている。

●まずは「社内調整」で疲れる

トラブルイメージ

様々な「変化」がある度に、採用担当者が頭を抱えるのが「社内調整」ではないだろうか。
例えば、以前こんなことがあった。

「ミッチーさん、最近の学生さんは、スマホが当たり前ですよね? だからうちのホームページもスマホ対応にしましょうって社内で提案したら、何て言われたと思います?」

「なに?お金?」

「いや、それ以前に『そんなの見にくいんなら、指で広げて画面を大きくしたらいいだろう!』 って一喝されてしまいました・・」

できないことはない・・ はい。
こんなことが起こる原因の多くは、自社の事業活動となんら関係のない「採用市場のニーズ」に応えるということをなかなか理解してもらえないから。

特にICTに絡むことは、余程その手のことに熱心な企業でなければ、世の中よりも社内の方が少しずつ遅れていることが多い。

社内の電話はガラケーでも、学生はスマホだし、社内では紙やハンコがメインでも学生はWEBで完結が当たり前になっている。

このギャップを埋めるための「社内調整」に採用担当者は苦労をすることが多い。自社の採用活動をより効率的に、成果を出すために行うことも、その必要性を理解してもらい、予算を確保するだけで疲れ果ててしまうことが少なくない。

普段からこのような「社内調整」に疲れ果てている中、そして採用活動のピークを迎えるこのタイミングでのコロナショックが採用担当者に与えるダメージは計り知れないのである。

●「ピンチ」のままか、「チャンス」にするか?

ピンチ

キャリアマップが行なった「コロナウイルス禍における企業の採用活動影響について」の緊急アンケート結果によると、採用予定数への影響について、「計画通り」と答えた企業が58%であったのに対し、「下方修正」は9%であった。

一方で、「現時点では未定」と答えた企業が32%にものぼった。

アンケートの実施時期から考えると、21年度の採用計画は本来固まっていたはずであるが、コロナショックの影響で自社の21年度新卒採用の方向性を決めかねている企業が3社に1社あるという様子が見て取れる。

採用担当者の皆さんは、自社の「21年卒の採用計画」を再検討されただろうか? 一旦、白紙にして「様子見」という企業もあれば、もしかすると「上方修正」とした企業もあるかもしれない。

先日、コロナ禍での採用戦線に関するオンラインセミナーを見ていたところ、このタイミングでも採用を抑えたり、見送ったりしない企業の「意図」についての話があった。

それは、「リーマンショックの当時、数年間の採用を中止や抑制したために、後々その層の人材不足に苦労した。その失敗から学んでいる企業が結構あるようだ。」とのこと。

なるほど、である。
もちろん、コロナによる自社への影響を踏まえた上ではあるが、これまで売り手市場で採用が難しかった時には採ることができなかった良い人材を確保できるチャンスとも考えられるし、行き過ぎた採用抑制は後々の人員配置に悪影響を及ぼす可能性もある。

そう考えれば、自社の採用計画を見直すにあたっては、「ピンチ」の観点のみで見直すのではなく、短期的視点と中長期的な視点を交えて採用担当者として前向きな見直しを提案することもアリではないだろうか。

●やっぱり「オンライン化」は避けて通れないが・・

online_interview

さて、冒頭にも触れたがこれからの企業の採用活動においてオンライン化は避けて通れない。

先日、卒業シーズンを迎えたアメリカの大学でコロナウイルス感染拡大防止防のために「ドライブスルー卒業式」が行われたとのニュースがあった。

「ドライブスルー採用面接」・・・ 話題にはなるであろうが、何か違う。

「当社は適性検査の結果から、入社後のパフォーマンスを的確に分析できているので全てオンライン面談でも問題なし!」という企業もまだかなり少数派であろう。

つい最近、私が所属する人事関係者の会議体でも「緊急アンケート」が行われ、その内容は「採用活動のオンライン化について」がメインであった。

「どの段階までオンライン面接を行なっているか?(またその予定か?)」の問いに、「最終面接は対面」という企業が多数派。

これはあくまで想像だが、やはり企業側はこれまでの経験から 「対面」でしか得られない本人が醸し出す雰囲気や佇まいから得られる情報は不可欠であると考えているのであろう。対人が多い職種の採用であればなおさらである。

学生の立場を想像しても、「オール・オンライン」よりも、「対面」の面接を経て採用内定をもらった方が「腹落ち感」や内定出し後のグリップも高まると考える企業が多いのではないか。

そうなると、やはりどちらか一方ではなく、「対面」と「オンライン」のハイブリッドでいかに組み立てていくのかが、採用担当者の課題となる。

●「覚悟」を決めて挑もう!

前向き

少し大げさかもしれないが、今まさに人類と新型コロナウイルスとの戦いの真っ只中。

しかし、このタイミングだからこそ、企業にとって人事や採用担当が大切な役割を果たし、その価値を発揮できるチャンスでもある。

「ストックデールの逆説」をご存知だろうか。最後にはかならず勝つという確信を持ちながら、同時に自分がおかれている現実のなかでもっとも厳しい事実を直視すること。

一番危険なのは、楽観主義でいること。

「もうすぐにコロナは収束するかもしれないし、思ったよりも早くワクチンや治療薬が開発されるかもしれない。そうなるまで採用活動は様子見かな・・」そう考えたくもなるが、それはあまりに楽観的だ。

厳しい現実を直視しつつ、「今は大変だけど、やるべきことをやれば必ず採用活動を成功する。」そう信じて覚悟を決めよう。

色んな場面で他社の採用担当者にお会いしたり、頻繁に連絡をくれたりする方もいるが、本当にみなさん頑張りすぎて疲弊している。
だからか口にするのは圧倒的に「愚痴」や「タラレバ」が多くなる。

上司がまたムチャを言う・・」、「また内定辞退されたんですよ…」、「もっと予算があれば…」

確かにその通り。しかも今回はコロナショックだ。
とはいえ、採用担当者が会社に不満を持っていたり、自身の仕事に不安を感じながら学生に向き合っていたりすると、必ず相手にもそれが伝わってしまう。

以前、多くの会社の面接官として活躍されている採用コンサルタントの方との会話の中で、
私が「面接で志望動機の回答の中によく 『人事の人がとても生き生きと働いている姿を見て!』 って類の回答があるんですよね。」と。

そのコンサルタントも、
「私もよくその回答を聞きますよ。学生さんだけでなく、学校の就職担当の方々にとっても同じことで、採用担当者は企業の『顔』ですからね。」と。

採用担当者の皆さんには、ご自身、そして採用活動で関わる皆さんの健康と安全を守りながら、このコロナ禍でも、「今は大変だけど、必ず採用活動は成功する。」
そう信じ「覚悟」を決めて一緒にこの難局を乗り切ろう!

この記事の著者

採用担当者のお助けマン堀越 マサミチ

経歴

大学卒業後、大手インフラ系のグループ会社に新卒で入社。その後、同系列のグループ会社に転職。人事、労務、経営企画などの業務を経験。中でも人事はトータルで20年以上従事。

活動実績

採用、教育、人事制度の構築などの幅広い経験を持つ現役の企業人事マン。 その傍ら、キャリアコンサルタントとして学生の就活支援、若手社会人のキャリア形成、最近では中学生のキャリア教育プログラムにも登壇するなど、企業の人事として「採用する側」と、キャリアコンサルタントとして若者の就職を「支援する側」の両方を担う立場として活動中。 趣味は旅行と読書とサッカー。特にサッカーは休日のほぼ全てを中学校サッカー部の外部コーチとして指導を行い、Jリーグや日本代表の試合にも足繁く通う日々。 家族は妻と2人の息子、愛猫が2匹。

 

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