コロナ禍で、就活生の「企業を選ぶ基準」はどう変わるか

株式会社アールコンシャス代表取締役/一般社団法人セカンドキャリアプロジェクト代表理事一ノ瀬 真理子

今回も、「新型コロナ感染症の就活への影響」のお話です。

 思い返せば2月。私たちは大学3、4年生を対象とした就活イベント「もうひとつの就活」を開催していました。「もうひとつの就活」は、就活中の学生たちが就職活動や仕事のこと、働く楽しさなどについて、企業の人事担当者と少人数で(飲みながら)深く話すことで、自己分析につなげていくというイベントです。

 「3月もやろうね」と約束していたのですが、ほどなくして新型コロナウィルスの影響で開催ができなくなってしまいました。もう3ヶ月が経とうとしていますが、メールなどで就活生たちの様子をうかがうと、コロナ禍を受けて就活生の企業を選ぶ基準や意識も少し変化してきているように感じています。

「テレワーク導入状況」などリスク管理も選ばれる要因に

在宅勤務オフィス勤務

 まさに今、世界中の人々が「想定外のことが起こりうる」ことをリアルタイムで感じていると思います。新型コロナウィルスの社会への影響は、就活生にとってもこれまでの職業観、仕事観を変える出来事となっているようです。

 ここ数年、「働き方改革」「人生100年時代」といった政策による時代背景もあり、就活生だけでなく、社会で働く私たちみんなが「楽しく働きたい」「仕事もプライベートも充実させたい」というような志向だったと思います。

 しかし、コロナウィルスの流行により、働き方や仕事のやりがいに加えて「非常時の影響を受けにくい業種であるか」「非常時に対応できる体力がある会社かどうか」「企業として非常時へのリスク管理ができているか」「在宅勤務、テレワークの導入状況」なども、就活中の学生にとって重要な検討要因となりそうです。

地元就職志向の学生が増え、地方の優良企業がクローズアップ

家族

 「リスク管理」という意味では、万が一交通機関が使えなくなっても徒歩通勤ができたり、自粛中でも家族と会える距離で暮らせる「地元就職」や、人口密度の低い地方で働く魅力がクローズアップされることが考えられます。

 また、コロナによりテレワークやオンライン会議が日常のものとなったことで、私たちは「都会にいなくてはできない仕事」は実はそう多くないことに気づきました。となると、これまでの「仕事を楽しみたい」「プライベートを充実させたい」という働き方改革的な志向に「好きな場所で働きたい」が加わり、「旅行で訪れたあの町」や「祖父母が住む田舎」、「転勤で小学校の頃に住んでいた町」など、就活生が働く場所についてももっと自由に考えるようになるかもしれません。

 それはもっと先かもしれませんが、地元就職志向はここ数年の傾向でもあり、コロナの影響でさらに拍車がかかることは十分に考えられます。地方には名前が知られていない優良企業が多く存在しますが、そのような企業にとっては自社の魅力を発信して優秀な人材を採用するチャンスになるかも知れません。

やはりオンラインでの採用活動は必須に

テレワーク

 学生に直接会うことが難しい今、オンラインでの採用活動を検討している企業はとても多いと思います。5月からは、大手就職情報サイトによるオンライン合同説明会がスタートしますが、自社単独でオンライン説明会を開催するのもおすすめです。ZoomなどWEB会議システムを活用すれば意外と簡単にできます。その場合、オンライン説明会の開催をSNS上で「「#WEB説明会」とハッシュタグをつけて宣伝する企業も多いようです。

 Zoomなどのシステムについてはセキュリティー面の脆弱性を懸念する声もありますが、自粛が続く中で就活生を会社説明会や面接に呼ぶのは少人数であっても「リスク管理が甘い会社」だと思われかねません。また、「この状況でオンラインを導入していない=採用に力を入れていない」と思われてしまうリスクもあります。

 オンラインでの採用活動は、コロナなど非常時に限らず地方の学生にも気軽にアプローチができて採用の幅を広げられるというメリットもあります。自社で対応が難しい場合はWEB面接導入ツールの導入なども含めて検討すべき課題かもしれません。

まとめ

 新型コロナウィルス感染症の流行は、就活生の企業選びや仕事への意識にも影響しています。就活生は、以前よりもっと現実的に業界や会社、仕事について考えていると思います。コロナへの対応が企業イメージを左右することもありえます。

 これまで会社の雰囲気や仕事のやりがいを中心に新卒にアピールしてきた企業も、「安全な生活を確保できる」「安定した経営基盤がある」「テレワークの環境が整っている」といったこれまでピックアップしてこなかった内容も含めて、もう一度、状況にあった自社の魅力や強みを整理してみましょう。

 その上で、採用オウンドメディアの制作や掲載中の就職情報サイトの内容の見直し、インスタやツイッター、YouTubeなどSNSでの発信の環境を整備していくことが大切です。

この記事の著者

株式会社アールコンシャス代表取締役/一般社団法人セカンドキャリアプロジェクト代表理事一ノ瀬 真理子

株式会社アールコンシャス代表取締役、一般社団法人セカンドキャリアプロジェクト代表理事。阪神間地元就職サイト「サクラナビ」の企画制作をきっかけに、地元企業と学生の出会いのイベント「もうひとつの就活」を運営するなど、企業と学生、双方向に対して「楽しく働く」をテーマにサポートを行なっている。

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